【考察】術式から考える、天元様の異質性【呪術廻戦】

 ども、けろです。

 このブログの立ち位置が「ディベートブログ」ではなく「ディベーターが書くブログ」になっていることに気づきました。まぁそれも一興ですね。

 冷静に考えるとこのブログで書いてる記事がディベートジェンダー、漫画考察何ですが守備範囲が意味わからないことになってますね。一体どの層にアプローチしたいのか謎ですが、別に収益化してるわけでもないし、ブロガーになるつもりも毛頭ないのでこんな感じでゆるく独り言を発信していきます。

 

 そんなわけでせっかくの連続更新なのにまたニッチな内容、漫画考察です。

 前回のブログが「呪術廻戦における天元と御三家の関係」だったのですが、その中で天元の術式についてさらっと触れたので今回はその深掘りです。

 

kerokero0441.hatenablog.com

 

 というわけで以下目次です。

 0.はじめに

 1.天元様の術式概要

 2.作中設定との乖離

 3.余談

 4.結論

 

0.はじめに

 まず前提となる仮説を提示し、記事の書き出しとします。

 

 仮説:天元の正体は呪物化した人間、あるいは特定の縛りによって抑留された人間である

 

1.天元様の術式概要

 まず天元の術式、設定について作中で明らかになっていることについて書き出します。

 

 ・不死の術式を持っている

 ・不老の術式ではなく、一定の老化を終えると術式が肉体を創り変えようとする

 ・そうなった場合"より高次の存在"となり、意思が消滅する

 ・天元は国内主要結界、補助監督の結界術の底上げに寄与している

 ・「星漿体」という適合者の人間を取り込むことで肉体の情報を書き換え、術式効果を振り出しに戻す(リセットする)

 

 恐らく本編で明らかになっているのはこの辺りでしょうか。

 単行本でいうと8巻の第66話「懐玉-弍-」にて開示された情報になります。

 この「術式効果を振り出しにする」を五条悟は「成程、メタルグレイモンになる分にはいいけどスカルグレイモンになると困る。だからコロモンからやり直すって話ね」と説明していました。めっちゃわかる。

 

2.作中設定との乖離

 これらの設定ですが、実は作中で明らかになっている別の設定と明らかに矛盾しているんです。

 

 根拠①:術式は生得的に肉体に刻まれたものである。

 

 前回の記事でも書きましたが、単行本2巻第12話「邁進」にて五条は「基本的に術式は生まれながら体に刻まれてるものだ」と語っていました。一応"基本的に"と留保されていますが、今のところ例外となるキャラクターは出てきていません。

 例外のように見える吉野順平は、確かに真人によって術式を使えるようになっていましたが、あれも136話で偽夏油が「脳の構造が術師向きでないもの」と言及していました。つまり「元々順平の肉体には術式が刻まれていたが、脳の構造的にそれらに対応していなかった」ということで、これもまた例外ではありません。

 偽夏油の中の人も、夏油傑の呪霊操術が欲しくて彼の肉体を手に入れました。今のところ「術式」を「肉体」から切り離す方法は呪霊操術の極ノ番「うずまき」の副次効果しかありませんし、これも呪霊限定です。

 

 これらの前提となる根拠を元に天元の設定を見てみると、天元の「術式」は「不死」と言及されており、肉体に術式が刻まれていることが分かります。

 しかし、「星漿体を取り込むことで肉体の情報を書き換える」という天元の設定は、この根拠①と矛盾します。

 何故なら星漿体自身は術式を保有していないただの人間(少なくとも作中で登場した天内理子は銃で頭を撃ち抜かれて死亡したため、「不死」ではありません)であるため、この星漿体を取り込んで「肉体の情報を書き換え」た場合、天元本来の肉体に生得的に刻まれた術式は消滅してしまうのではないでしょうか。

 

 そう考えた場合、天元というのは果たして「不死の術式を持った普通の人間」なのでしょうか。

 

 根拠②:術式の能力は一つの術式につき一つである。

 

 そもそも、「不死」というのは天元の「術式」の主効果なのでしょうか。

 というのも、基本的に「術式」というのは一つにつき一つの効果を持つものです。伏黒の「十種影法術」は「影」を操って各種式神を顕現する術式ですし、「赤血操術」は自身の血液を操る術式です。

 五条の「無下限呪術」も、「収束する無限級数」を派生させて中和・引力・斥力を使い分けていますし、「肉体に刻まれた術式」が持つ効果・能力は基本的に一つ、というのはほぼ確定の情報だと思われます。

 天元の肉体を高次の存在へ創り変えるのは彼の「術式」によるものであると作中で言及されていることからも、天元の肉体に刻まれた術式というのは「そういう類」の概念改変系の能力なのだと思われます。

 であるなら、天元の術式が「不死」というのはミスリードなのかなと。そもそも「不死」であるなら単に肉体的に無敵であるとか、事故死病死等のあらゆる死を無効化する概念系の能力のはずですから、「肉体を創り変える」というのは少し「不死」の本筋とズレてきます。

 となると天元の術式というのはもっと別のものであり、「不死」というのはその過程で生まれた副次効果なのではないでしょうか。

 

3.余談

 というよりそもそも「結界術の底上げをする」というのは一体どういうことなのでしょうか。

 作中で明らかになった「結界の強度」を底上げする手法として、術師が結界の外側にいたり、敵に見つかりやすいリスクを犯したり、足し引きの帳尻を合わせたり等が挙げられます。

 そのどれもが「縛り」によって自身・結界そのものにマイナス要素を課すことによって同等のプラス効果を得ているわけで、要するに「ノーリスクで結界を強化することはできない」ということです。

 このルールが普遍のものであるとするなら、天元も例外ではありません。

 まして天元は「国内の主要結界」「補助監督の結界術」双方の底上げというとんでもない補助効果を発揮しています。これが「縛り」によって得られているものだとするなら、その代償は一体どれほど大きいのでしょうか。

 

 例えばこれが、「人間を生きたまま呪物化している」「生命活動の一切を停止させる」等の「縛り」によって帳尻を合わせているのだとしたら、「不死」が副次効果であるという考察とも、「現に干渉しない(≒できない)」という作中設定とも辻褄が合います。

 

 唯一の難点は「500年に一度肉体の情報をリセットする必要がある」でしょうか。ここに関しては本当に情報がないのでなんとも言えません。続報に期待しましょう。

 

4.結論

 ここまでの情報をまとめると、以下のようになります。

 ・天元は、作中設定である「術式は肉体に刻まれる」と矛盾する

 ・「不死」はミスリードであり、天元本来の術式、あるいは「縛り」の副次効果である

 ・「縛り」のルールから、天元は国内の結界術を底上げするにあたって何かしらの制約を課された存在である

 

 少なくとも作中で讃えられている「天元様」という存在は、皆が思っているような守り神的な存在ではなくもっと負の側面が強い存在なのではと個人的には思っています。

 

 

 今回は以上です。

 また何か考察できそうな要素があれば記事にします。

 それでは。