ディベート小噺:Japan Womxn's Nationals 2023を運営した話

 最後にブログを更新してから1年半以上が経過し、時の流れの速さと自分の自堕落さに渇いた笑いが出ています。おまけに大会を運営したのも1ヶ月以上前ですから、この時点で既に圧倒的出オチ感がすごい。

 

 久しぶりに仕事以外で文字を書きたくなったので、リハビリ兼備忘録兼とりとめのない思考の置き場としてこの記事を書いています。需要があるとは思っていませんが、こんな調子でだばだば〜っと書くだけの記事なのでご容赦ください。

 

 以下目次です。

 

1.自分にとっての「うまんず」的な話

 今回自分がTDとして開催した大会名は"Japan Womxn's Nationals"でしたが、コミュニティ内では「うまんず」という愛称で呼ばれているのでこの記事でも以降は「うまんず」と呼称します。関係ないけどひらがなで「うまんず」って書くと柔らかなかわいさがあって好きです。

 

 うまんず、「やるぞ〜!」と宣言をしたのは確か4月の春Tだったと思いますが、(やるか……!)と一人で勝手に決意したのはもう少し前だったと思います。多分年明けくらい。

 大きな目的としては「ディベート界における非シス男性のエンパワメント」ですが、開催するぞ!という決め手になったのは「ディベート界への小さな恩返し」「自分自身がうまんずという大会が好きだから」という極めて個人的な感情の揺れ動きによるところが大きかったと思ってます。

 

 特に2点目の「うまんずが好きだから」がめちゃくちゃ大きかったです。

 自分が「うまんず」というコンセプトの大会に初めて出会ったのは2014年(9年前だって、怖いね)だったと思いますが、当時はAoyama Woman's Cup(通称AWC)という大会名でした。

 ちなむとそれより以前はJapan Woman's Debating Championship(JWDC)という大会名でしたし、一口に「うまんず」と言っても、時代の流れで大会名や主催団体が色々と変遷していたりします。

 

 以下「うまんず」の大会遍歴です(認識齟齬があったら許して)

 2012,2013:Japan Women's Debating Championship (主催:有志)

 2014〜2016:Aoyama Women's Cup (主催:青山学院大学)

 2017:Women's Nationals (主催:有志)

 2018〜2021:Aoyama Women's Cup (主催:青山学院大学)

 2022:開催なし

 2023:Japan Womxn's Nationals (主催:有志)

 

 こんな感じで、その時々で様々な人が(きっと様々な思いで)リレーのバトンのように受け継いできたのが「うまんず」という大会だと思っていて、そんな側面がある大会だからこそ昨年度開催されなかったのがとても寂しかったし、もし今年も開催されなかったら今後"なぁなぁ"で開催されなくなってしまうんじゃないか……という思いがちょっぴりありました。

 2014年以降はほぼ毎年(後輩の応援やEquity Officer、当日コミといった)何かしらの形で関わらせていただいた大会ですし、数ある大会の中でも特に思い入れの強い大会だったので余計に。

 

 大会のクロージングセレモニーでも言いましたが、これは別に誰かを責めたいわけでも、どこかの大学やコミュニティを後ろ指さして批判したいわけではありません。特にコロナ禍で毀損された各大学の人的リソースは極めて大きいと思っていますし、むしろコロナ禍という稀に見る災厄の中でも"オンライン化"の道へ舵を切り、あの手この手で大会を実現させていた当時の皆様には頭が上がりません。

 自分は現役時代に「中小大学」の横のつながりに助けられたし、そうした「共助」

に救われてきた人間なので、今回「えいや!」で大会を開いてなんだかんだでよかったな〜〜〜と思っています。

 

 こうやって書くといい人ぶってる感があってあまり好きじゃないのでバランスを取ることにしますが、やっぱり最後の決め手は「俺がうまんず好きだからうまんず開催するぜ!!」という極めて個人的な理由なので、言ってしまえば壮大な自己満足です。こういうところが自分の子供っぽいところだなぁと苦笑してしまいます。原動力がいつまで経っても「衝動」すぎる。

 

 それはそれとして、どうやら自分は2017年のJapan BPでTDを務めた際に「ちょうど10回目の正規コミなのでこれで運営は引退しま〜〜〜〜〜す!!!!!」などと偉そうにFacebookに長文ポストをしていたようです。図々しく運営として戻ってきてしまった事実があまりにも恥ずかしいですが、やっぱり「SNSで堂々と引退宣言をする人間は引退しないんだなぁ」と身をもって痛感しました。悔しい。

 

 あと"いい感じ"に締めようとしているのがむず痒かったのでちゃんと触れておくと、数年ぶりのオフライン大会運営は無事キャパがパンクし、あらゆる方面への気遣いが不足し当日は色々な人に助けられました。遅延させてすみませんでした。

 

2.ディベート界にとっての「うまんず」の話

 これもクロージングセレモニーで大体話しましたが、日本のディベート界にはまだまだ「うまんず」が必要だと思っています。

 誰かを批判するお説教ではない、というのは当たり前の前提ですが、構造的な問題としての「偏り」というのは厳然と存在するし、1年生大会の時の男女比率がそのまま推移していかないのは"個人"という単位では片付けられない課題があると思っています。

 

 などと書くと思想の強さがまろび出ていますが、ディベート界がどんどん発展していくことを心の底から願っていますし、その邪魔にならない形でひっそりと支えていけたら……と思っています。

 

 次年度以降も「うまんず」が開かれたら嬉しいですし、こんな老兵が力になれることがあれば喜んで馬車馬になろうと思います。

 

3.これからの「うまんず」の話

 

 「うまんず」はその時々の「思い」を色濃く反映し、ブラッシュアップする形でどんどんと進化してきた大会です。

 生まれたてのベイビーだった頃は参加対象が「女性」だったのが「非シス男性」に裾野を広げ、「ジェンダーを中心とする論題」「他の大会と同じような論題選定」になり、今後もどんどん進化・発展していくのだろうと思っています。

(再三になりますが、進化する前が「悪い」と言っているわけではありません。その当時の運営の方々はその時にできる最大限を発揮していたと思っていますし、後に続く人達がその「思い」を受け継いで変革させていったと思っています)

 

 これからの「うまんず」がもっと良いものになることを願い、以下の提案を残しておこうと思います。

(さも自分が思いついたように語っていますが、大会後のアンケートで参加者からいただいた意見をだばだば〜と書き連ねているだけです)

 

 

・大会名を「Womxn's and Gender Minorities」的な名称にする

 これは「うまんず」という大会がその対象を「女性」から「非シス男性」へ広げたことに端を発していると思っているのですが、すでに"Womxn"という単語だけではカバーしきれないほどその対象は広くなっっていると認識しています。

 

 もちろん"Womxn"という単語は、"man"に対する批判の文脈で生まれた言葉であり、自分は"x"に様々な思いを込めていたりするのですが、口語表現としては「うまんず」になるわけで、そうなるとより広汎な言葉、大会名が好ましい気がしてくるわけです。

 

 別に上記のような大会名にすることが必須というわけでも、上記のようにしなかったからといって烈火の如く猛り狂い、そこかしこに火を点けるみたいな野蛮ムーブはしませんが、「より多くの概念を包摂する大会名」がこれからの時代には適しているのではないか、と思っています。

 

(ちなみに自分が今回"Womxn"という単語を用いたのは、フェミニズム的な意味での家父長制批判を大会名に込めたかったというのと、数式で"未知の数"を示す"x"を使うとかっこいいじゃん〜〜〜という厨二的な想いに由来しています。イーロン・マスクへの憧れは微塵もありません)

 

・GF chairを非シス男性にする

 これもアンケートを見た時にハッとなったんですが、GF chairってその後のCVとして色濃く残るものだし、国際大会でIAやACに立候補する時にも重要な指標になるよな〜〜〜〜というディベート10年目の遅すぎる気づきです。

 

 はよ気づけと言われたら「ほんますみません」となるのですが、日本というコンテクストで「うまんず」を開く性質上どうしてもジャッジはシス男性が多くなってしまうので、そういった状況下でも(非シス男性のエンパワメント、という大会理念をジャッジに対しても適用できるような)試みが必要だよな、と思わされました。

 

・ACを(可能な限り)非シス男性で揃える

 難しいよ〜〜〜という魂の叫びは置いておいて、それでもなるたけ実現できると理想的ですよね。

 今回ACを務めてくださった御三方はどなたも本当に素晴らしい方々でめちゃくちゃ助けられたのでそこに対する不平不満ではなく、「大会として目指すべき姿」は別の次元で存在するよな、と。

 例えば公募制を導入してみるとか他薦を認めることで運営以外の視点を取り入れるようにするとか、いろんな方向から人材を発掘する試み自体はあってもいいよねと思います。

 

 上記全部ができたら本当に素晴らしいと思いますが、一方で理想と現実のギャップというのは確実に存在していますし、リソース上の限界というのもあります。必ずしも思い描いた通りにいかないこともあると思いますし、そこが大会運営の難しさでもあり楽しさでもあると思っています。

 

 自分はもう社会人になって随分経っており、コミュニティの中心からはとっくに離れてしまった人間です。

 そんな人間がやいやい言うのはある意味「老害ムーブ」だなと自覚しつつも、まぁ言うだけならタダなのでこうして思考の置き場として書き連ねているわけです。

 

 

 久しぶりに文字を書いたらあまりの語彙力の低下と筆の進まなさに愕然としたので、もう少しちゃんと活字に触れる生活を送ろうと思います。

 あともう少しブログの更新頻度を上げられるように頑張ろうと思います。いいネタがあったら教えてちょ。

 

 

 というわけで、またどこかで。