ディベート小噺:1年生大会、NAかBPか。

 ども、けろです。

 実家に帰ってきていて暇でやることがないので、ブログ更新します。ブログなんてそんなもんです。

 

 今回の内容は、タイトルにもあるように「1年生大会ってNAがいいの?BPがいいの?」っていうよく聞く論争についてです。

 僕個人の思想はあくまでNA派なので、昨今のBP化の潮流に見事に反しています。デジタル化の流れについていけないおじいちゃんみたいですね。うるせぇ。古き良き伝統パンチを喰らえ。

 まぁここでNAとBPのルールとかスタイル解説はしません。流石に冗長になるので。

 

 というわけで以下目次です。

0.はじめに

1.ディベート導入面

2.練習コスト面

3.おわりに

 

0.はじめに

 この1年生大会NA vs BP論争は最近になって結構ホットな気がします。

 1年生大会としては例年国内最大規模であった紅葉杯が2018年にNAからBPへ移行し、その後も梅子杯をBPにしようとか1年生大会は全部BPでいいんじゃないかとか、その手の意見を耳にする機会が増えました。

 この記事では、そう言う人達の意見を否定したり、冷や水ぶっかけたりといった意図は皆無ですし、「BP化とか頭おかしいんちゃうか」とか言いたいわけでもないです。その点ご留意の上、燃やさないでください。まぁ「いやBP推進派は流石に生存者/強者バイアスかかってね……?」くらいには頭の隅っこで思ってますが。

 あくまで当記事の目的は、割とホットになっていて、恐らく今後も議論が活発に続くであろうディベートコミュニティの今後について一意見を投げるという、ディスコースへの寄与を目的としています。

 だからこのブログを読んで「○○っていう老害OBがブログで言ってたからNAは正しい!」とか「あんな化石みたいなおっさんの言うこと真に受けんな」みたいな結論をすぐに導かないでください。他人の褌、もといマターでディベートをするな。

 

 

 こんだけ予防線張っておけばいいでしょう。いいですよね?

 例に漏れずあらゆる団体や組織を代表しません。ちなみに私は前述のようにNA派なので、その前提で記事を書きます。要するにお気持ち理論武装です。というわけで誰かカウンターディスコースとしてのBP派のブログ書いてください。よろぴこ。

 

1.ディベート導入面

 ではまず、BPスタイルと比較した際のNAスタイル、並びに1年生大会ラッシュ時のメリットを述べていきます。私見が多分に含まれます。特に私は、「中小大学のESS出身」という若干インターセクショナルなバックグラウンドなので共感できない部分もあると思います。「は?私は中小だけどBP派だが?」「ESSだけど全然BP推進するけど?」みたいなのも全然あると思います。

 

 ・新入生にとってのハードル、高くね?

 ディベートを始めたばかり・これから始める1年生にとって、BPスタイルって中々敷居が高いというか、参入する段階でのフィルターがかなり強くなる気がするんです。

 というのも、NAスタイルが2on2、つまり対戦相手が1チームであることに対し、BPスタイルは4チーム対抗なので対戦相手が(自サイドも合わせて)3チームいることになります。

 これは3チームに対して戦略を練るという技術面もそうですが、3チーム×2人=6人分の英語を聞かなければいけないという言語面のハードルもあります。そういえば「ハードルは高ければ高いほどくぐりやすい」みたいな名言見かけたことあるんですけど、それなんて言うか知ってますか。ルール違反って言うんですけど。

 というのも、まぁ帰国勢であったり英語/ディベートに対してかなりやる気があったりといった、所謂(まぁこの言い方も本意ではありませんが)ガチ勢にとっては些細な差かもしれませんが、「ディベートってよく分からんけどなんとなく覗いてみるか」みたいな、大学生活で何やるか決めかねてる層からすると何が何やらだと思うんですよ。

 「論題」って時点で既に馴染みがないというか「難しそう」って思うのに、加えてディベートに関して右も左も分からない状況で大量の英語スピーチを浴びるって、全くの初心者というか一部の人からしたら「楽しくない」って思われても仕方ない気もします(これが勝手な一般化のように受け取られていたらすみません)。

 これは実体験ですが、初めて他大学の練習に参加した時、初見でBPのラウンドに放り込まれたんですね。論題もムズいしBPなんて知らないし、とりあえずてんやわんやしてました。僕自身はディベート好きでそこからのめり込めたんですが、そうじゃない人はそういうのをきっかけにディベートに対して苦手意識を持つことも不思議じゃないです。というか弊大学の大半がそういう人でした。

 まぁ、そういう人達にまで新歓を合わせるのかっていうそもそも論もありますが、個人的には多くの人にディベートを楽しんでもらう第一ステップとしては、入り口を広くするっていうのがあると思ってます。というか殺意力53万とか、そういう戦闘民族気質な人は放っておいてもオープン大会という名のゴリラパークにステゴロで乗り込んでいくので特に関係なくね?と感じます。

 

 その点、NAは比較的ハードルが低い気がします。対戦相手は1チームだし、聞かなきゃいけない英語は2人分で済みます。試合時間もそこまで長くないし、結果も勝ち負けの2つしかないのではっきり改善点が分かります。

 

 以前、「NAをやると"議論のテンプレ"が染み付いてしまってエクステンションが出ない」「最初からBPをやらせれば苦手意識を持つということがない」みたいな意見を見かけました。個人的にはうーんって感じです。

 エクステンション出せる出せないは個人の度量というよりエジュケする上級生側の失敗な気がしますし、確かに BPフォーマットから始めれば苦手意識を持つ人の絶対数は減ると思いますが、同時に競技人口の絶対数も減ると思います。

 というより、"BPのエクステンション"は飛び道具というか空中戦っぽいじゃないですか。"オープニングから出てきた議論からエクステンションを出す"って、言ってしまえばなんでもありなわけで、そんな環境に初心者を放り込む方がよほど無責任な気がするんですよ。だって「なんでもあり」の環境で戦えるのって、「どこからがなんでもありなのか」っていうのがある程度分かっている必要があるわけで、つまり"議論のテンプレ(のようなもの)"が頭の中に入っていないとそもそもその土台にすら立てないわけです。

 NA=BPのオープニング、と言うと流石に乱暴すぎますが、議論の土台を構築して証明責任から要求される議論を展開するということに関しては共通する部分もあると思います。

 少なくともそれができるようになる前からBPを導入するのは、目の粗いふるいにかけるようなものだと思います。選民がより一層進む。サファリパークを作ろうと思ったら出来上がったのはゴリラパークだった。みたいなことになりかねない気がします。

 別に競技として「NAの方が簡単」とか言いたいわけじゃありません。「本質的な難易度はさておいて、より多くの人にディベートに関して親しみ・やり易さを感じてもらえるのはBPよりNAじゃね?」ということです。やり込み要素あるファイナルファンタジーとか流行りのオープンワールドゲームより、マリオパーティとかの方が色んな人に好かれるじゃんっていう。知らんけど。

 

2.練習コスト面

 BPで必要な人数(8人+ジャッジ1人)を毎回確保するのって大変じゃないですか。いやこれは1年生大会に限った話じゃないですけど。特に1年生の時期って他のサークルの新歓とかバイトとか勉強とか、所謂学生生活において何に重きを置くのかを決めかねている時期ということもあって、練習に来る頻度が人によってまちまちだったりするせいで練習毎の人数にバラつきが出る、ということが多分に発生します。

 田飼さん方式(オープニングを共有し、クロージングで複数の部屋に別れるやつ)を用いれば半端な人数でもある程度の対応はできますが、それにしてもジャッジの人数問題とかディベーターの問題とか色々あるので、これで全てを賄えるのかっていうと違う気もします。

 だったら無理してBPのラウンドを成立させなくても、NAのラウンドを回して、余った時間をフィードバックに充てれば1年生にとっては「ディベート楽しめた」っていう1実感だけを家に持って帰れるじゃないですか。

 個人的には、以前見かけたインステで取り入れられていた、「プレパ時間を20分にして、1年生はオープニングにアロケ。上級生はクロージング」という練習スタイルは1年生にディベートを楽しんでもらいつつ上級生がBPの練習をする折衷案として非常に良いと思いました。が、結局1年生はクロージングのゴリラ・ライオン・トラ・コモドドラゴンといった猛獣サファリパークからのPOIや反論に曝されるのでこれも完璧とは言いづらいかもですね。

 

 あと、普通にジャッジに要求される技術も、NAよりBPの方が高いと思います。

 また自大学エピソードになりますが、弊大学は自分が現役の時もBPのジャッジができる現役生が(自分含めて)3人くらいしかいなかったんですよ。まぁこれは弊大学がほとんど大会に出ないとか、出不精だったりとかそういう側面もあったのは間違いないんですが、単純な2on2の方が「どっちがどういう理由で勝ったか/負けたか」って分かりやすいと思うんです。これは僕のバイアスなのでそうじゃないって思ったら遠慮なく石投げてください。

 こういう状況下で、まだ他大学に知り合いが少ない1年生の時期にBPに放り込むのって、まぁしんどいです。ある程度知り合いが増えてきて、他大学の練習にも気兼ねなく参加できるようになって、ディベートのあれこれが分かるようになってきたらそりゃBPは楽しいしBP大会に参加するモチベもあると思うんですが、ディベート導入時期にそれやるの?どんくらいのインステがそれを継続的にできるの?っていう。

 

 マジのマジで超個人的な私見を言うと、紅葉杯がBPになるとなった時、僕は「あ、これでウチの1年生が出られる大会が1つ減ったな」って本気で思いました。まぁこれは大学に集まる人柄、あるいは僕ら執行代の失策、たまたまその時にESSに入ってくれた1年生の層等の色んな要因が重なっているのは間違いないですが、BPへの移行によってそういう状況に遭遇する人がいるんだよっていうことは知ってほしいですね。

 

3.おわりに

 後半は愚痴っぽくなってしまったので建設的な議論からは少し離れましたが、個人的に1年生の時期にNAをやるメリットはかなりあると思います。

 要するに、既存の大会をBP化させる必要ってあるの?っていう。

 新しくBP大会を作るのは(スケジュールや会場の兼ね合いから厳しい面もありますが)全然いいと思うんです。KK Cupとかそういう流れで生まれた大会ですし。

 既存の大会は一程度そのままに、コミュニティの多様化に合わせて新しく大会やレクチャーを開く、その方が新規参入者の数を保ちつつコミュニティの発展に寄与できる気がしますね。

 

 

 ここからは超個人的な意見をオブラートに包まず直球150km火の玉ストレートで投げますが、1年生の新歓に関してはグローバルスタンダードとかディベートの本質とか知ったこっちゃないです。新歓は接待だし新歓時期の1年生はお客様であり次の世代を担ってくれる人材育成期間です。その時期から選民を進めるのってコミュニティの首を絞める可能性だってあるんじゃね?と。

 

 みんなで、楽しくディベートしたいですね。

 個人的にはそろそろオフライン大会が恋しいです。

 それでは。