ジェンダー論議:「性的同意」ってなんだ?

 ども、けろです。

 怒涛の勢いで更新していますが、これは未来の自分が「あの時は頑張ったし」とサボる言い訳をするためでもあります。なのでこの連続更新が続いた分だけ盛大にサボるつもりということです。実質冨樫。

 以前ブログで「ジェンダーに関する単語とかピックアップして紹介していきます!」とイキったこと言ってたのに、それを見事にすっぽかしていることに気づいたので今回それに取り組んでみます。

 初回(といっても「イクメン」とか「ファッションとジェンダー」とかのブログを書いているので、これが初回かというと違う気もしますが)は最近SNS上でもホットな話題である「性的同意(sexual consent)」についてです。

 そんなわけで以下目次です。

 

0.はじめに

1.諸要因による合意形成能力の喪失

2.外部要因によって生まれる関係性の不均衡

3.おわりに

 

0.はじめに

 ぶっちゃけ僕が語るよりも、以下に貼る動画等を見てもらう方がはるかに効用が高い気がしています。というわけで「性的同意」について分かりやすく解説してくださってる動画のリンクを貼っておきます。時間がないよ、という人は最後の紅茶の動画だけでも見てってください。以前Twitterでバズったやつです。

 

youtu.be

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 要するに「性的同意」とは、「対等な関係性で・明確な同意が取れない場合セックスをするな」ということです。

 本来ならこのシンプルな説明だけで終わってもいいんですが、曲がりなりにも「ジェンダー論議」とタイトルをつけていますし、世の中にはこの分かりやすい文章すら読めない人がいます。文字は読めるのに文章・文の意味を理解できないの、高校の現代文で何を習ってきたんでしょうか。日本って識字率高いはずなのに。多分そういう人達って「作者の気持ちを答えなさい」っていう問題に対して「締め切りに追われてたと思いますw」みたいな回答することを「こんな風に答えちゃう自分カッケーwww」って思い込んでると思います。これは偏見です。

 

1.諸要因による合意形成能力の喪失

 じゃあ一体どんな要因がこの「合意形成」を阻害しているんでしょうか。

 まず(対外的な関係性ではなく)当人の合意形成能力を妨げる要因について列挙していきます。

 

a)アルコール・薬物等による意識の混濁

 これが一番分かりやすいと思います。当人がきちんとした「合意形成」を行うためには、まずその人の意識がしっかりしている必要があります。そうでないと「自分がいつ・どこで・誰と・何をするのか」を合理的に考えることができませんから。ディベートでもよく聞きますよね、rational calculationってやつです。

 アルコールや薬物はこれを大きく阻害します。何せ脳を直接麻痺させる効用を持っているので。酩酊状態のことをよく覚えていなかったりするように、これらを摂取した直後の人間の意識というのは極めて白濁した状態になります。

 某大学のテニスサークルが女子学生の飲み物にアルコール度数の極めて高い「スピリタス」をカプセル状にして入れたことが問題視されたのも、これが理由です。馬鹿かよっていう。

 巷では「アルコール度数が高いのに美味しくぐいぐい飲めてしまうカクテル」を指して「レディキラー」という名称があります。カルーアミルクスクリュードライバーロングアイランドアイスティー、ブラックルシアン、セックスオンザビーチとかが挙げられます。

 あとは睡眠薬等の薬物ですね。これも個人の意識を脆弱にし、合意形成を曖昧にしまう。

 例えばバーで男性とお酒を飲んでいて、席を離れた隙に飲み物に薬を入れられていた、といった被害をよく耳にします。そういったことを防ぐために、ハルシオンサイレース等の睡眠薬には水に溶けると溶液が青くなる色素が混入されています。

 が、悪知恵と股間が直列繋ぎになっているチンパンジー達はこれでもめげず、チャイナブルーや楊貴妃、スカイダイビング等の、「元の色が青いカクテル」を女性に勧めたりするそうですね。これを教訓に、「一度席を離れたらその飲み物には口をつけるな」という対応策があったりしますが、なんで被害に遭う側がこんなに気をつけなきゃいけないのか……と辟易しますね。こういうのを聞くにつれ、科学的去勢は最終手段としてありなんじゃないかとちょっと考えます。

 個人名を挙げることは(情報の正確性やプライバシー等々)色々な観点から伏せますが、僕たちが属するディベートコミュニティの中でも「お酒をたくさん飲まされて、気づいたらホテル/家にいた」といったような普通に悍ましい話をいくつか聞いたことがあるので、まじで他人事じゃないなと思います。というかディベート上では個人の尊厳とか人権の話を公明正大に話す人達がプライベートでそういうことをしているというの、割とまじで最悪に近いと思いますね。普通に犯罪だし。カスをドブで煮込んだ後に雑巾で処理した臭いがしそう。だから英国議会を模した競技とはいっても舌の枚数まで真似る必要ないんですってば。 

 

b)年齢的要因

 少し話が逸れたので本題に戻ります。

 アルコールや薬物等の外部要因以外にも、当人が合理的に合意形成できない要因があります。それが「年齢」です。

 例の如く番人の味方ウィキペディア先生の力を借りると、「性的同意年齢」とは「精神的・機能的に発達した年齢であること」を指します。まぁ国によって様々ですが、この年齢以下だと「合意形成ができない」とされます。要はどんな理由があろうと強姦としてしょっぴかれるぞってことです。

 よくSNS上のペドフィリア論争で児童の権利擁護派が(誤って)用いる意見として、「児童は性的合意ができないのだからペドフィリアを認めてはいけない」というのがあります。この意見自体は、命題としては正しいです(ラブドール論争等で用いられたりするので、文脈は誤っているよ、ということです)。

 つまり身体の発育・発達が性行為に充分足り得ていなかったり、精神的に自身のことを客観視できていなかったりするからダメ、ということです。

 

 余談ですが、日本の性的同意年齢は13歳で先進国の中でも著しく低く、これを引き上げようという動きがありますね。個人的には反対する理由がないです。

 

ja.wikipedia.org

 

 

2.外部要因によって生まれる関係性の不均衡

 では「当人に起因する合意形成」ではなく、外部要因としてはどのようなものがあるでしょうか(アルコールは外部要因としての側面も強いですが、アルコールは摂取した人の「脳や身体」といった内部に影響を及ぼすので、便宜上ここには位置付けません)。

 

a)社会的身分

 性行為が2人(以上)の関係性で行われる以上、当事者の関係性というのが「断りにくい・断れない」という状況を作り出すことがあります。

 例えば「学生と教授」「上司と部下」「先輩と後輩」等の、権威勾配を齎す関係性です。

 以前某大学の教授が、自身の研究室の大学院生に対してハラスメントを行っていたというのがニュースになりましたね。性的同意とは少し遠いですが、これも権威勾配を利用して「告発できない雰囲気・関係性」の下で相手に加害を行うという点では同じです。

www.jiji.com

 

 これは、「断れば自分の(研究室・社内・部活内での)立場に不利益があるかもしれない」という恐れから「断れない」という状況を作り出してしまいます。

 ただ、不均衡な関係性を悪用している場合ではなく、真剣に交際を求めたり性的な関係を要求している場合でもこれが作用することがあるので、結構複雑な問題です。もちろん、だからと言って「そんなこと言われたら何にもできないじゃないか!(股間ビンビン)」みたいなチンパンジー発言を容認してはいけませんし、するつもりもありません。自分の欲求を満たすことを他人を加害する免罪符にするな。

 

b)性別

 これも上記の社会的立場に起因することがありますが、性別による不均衡も往々にして発生します。

 というのも、日本において「性的な関係を要求する」立場にあるのは、割と男性であることが多いからです(もちろん女性から要求する場合もありますし、最近はオープンになる人が増えていますので、あくまで傾向の話です)。

 こういう時に、例えば恋人関係において「断ったら彼に申し訳ないから……」という理由から性的関係を断れなかったり、本当は気分じゃないのに渋々行為に応じる、というケースがあります。もちろん性別を逆にしても起こりますよ。

 要するに「男のプライド」みたいなみみっちい社会通念であったり、「恋人間ではそうして当たり前」という暗黙の了解がこれを招いており、本来であれば「ノー」であるはずなのにそれが言えずに……という問題があります。これも性的同意の観点からは「カス」です。

 

c)時間・空間的プレッシャー

 上述の内容に付随する形になりますが、特定の空間という、特殊・限定的な条件によって相手にプレッシャーを与えるというのもあります。

 例えば「2人で飲みに行く」「男性(女性)の家に遊びに行く」「夜に2人で会う」といった条件ですね。これを勝手に「セックスの同意」と勘違いしている人がたくさんいます。「2人で飲みに行く」のは、あくまで「2人で飲みに行くことへの同意」であって、その後の関係がどうなるかはその場できちんと確認する必要があります。別に家でお泊まりする約束してたからってそれがイコールセックスするかどうかっていうのは違いますしね。

 これを何か別のものと履き違えて「そんなのいちいち確認してたらムードが崩れる!」とか宣う輩がいますが、あれは「私は相手の気持ちを確認する努力をしたくありません!でもセックスはしたいです!」というチンパンジーとしての自己紹介なので無視しましょう。

 

3.おわりに

 まとめると「相手が断りにくい関係性・空間」や「合意形成できない状況下」では性的同意というものはありません。そういう場合はセックスをすべきではないし、セックスをしたいのであればきちんとした対等な関係・状況を作ってからスマートに申し込んでみましょうね、という話でした。

 これは余談ですが、何かを揶揄したり卑下するときに「チンパンジー」という語句を用いるのは種差別的というか、人間を上位種として捉えているような節があるよなぁという思いもあるのですが、あくまでただの比喩表現として溜飲を下げてください。燃やさないで。

 

 要望があればこの手の「ジェンダーにまつわるお話」を少しずつしていこうと思っています。

 

 それでは。