ジェンダー概論-①〜SOGIについて〜

 どうも、けろです。

 

 さて、今回はジェンダー概論-①〜SOGIについて〜です。

 別の単語で言い換えるなら「LGBTについて」です。ディベートでもよく登場しますし、昨今社会的にも大きな転換点を迎えているこの点ですが「LGBT」という語句が、その語句の内包する限界性ゆえにたまに誤解されたりしているのでここで整理しておこうかと思います。

 全部書き終わってから思ったのですが、知っている人にとっては特に目新しい情報はありません。主に入門者を対象にしていると思ってください。

 (①と銘打ったのに書きたいことがこの回に集約されているので②を書くかどうかは未定です。何かご意見ありましたら適当に連絡してください)

 ナンバリングは以下の通り。

 

(1) What is SOGI ?

(2) Sexual orientation

 A. Gay

 B. Lesbian

 C. Bisexual

 D. Asexual

(3) Gender Identity

 A. Cisgender

 B. Transgender

 C. X-gender

 

(1) What is SOGI ?

 昨今性的マイノリティに関する議論は急激にその知名度を広げ、社会において様々な政策等が行われるようになってきました。社会進展が遅いとされる日本でも、渋谷区をはじめとする自治体でのパートナーシップ制度やレインボーパレード、企業での多様性尊重等、少しずつ変わりつつあるように思えます。

 ただ、新宿マルイでの「LGBTトイレ」等、どこか実態と乖離した施策が行われている点も節々に見かけます。

 

LGBTトイレ?当事者の皆さんの意識は?

  

 この乖離がどうして生まれたのかというと、もちろん認識がきちんと広まっていないというのもあります。

 「何かはよく知らないけど、こんな感じで対応すればいいんでしょ」といった、多様性の表層だけをなぞろうとする動きです。

 

 ただそれ以前に『「LGBT」という言葉は果たして「性的マイノリティ」を表象する上で適切な言葉なのか?』という疑問が挙げられます。

 そもそもLGBTとは、Lesbian, Gay, Bisexual, Transgenderの頭文字を合わせた言葉です。

 逆に言えば、「その四者しか表すことができない語」でもあります。

 故に様々な性的マイノリティの認識を広げよう、という動きからLGBTQやLGBTQIAといった風に語彙が変遷してきていますが、それでも全ての性的多様性を取り上げるには至りません。

 もちろん「LGBT」という語の本来の意味よりも、マイノリティを表象する上でのよりシンボリックな語としての側面もありますが、それでも少しだけしっくりこないのも確か……

 そこで生まれたのが「SOGI」という言葉です。

 これはSexual Orientation(性的指向)Gender Identity(性自認)を合わせた言葉です。

 

 Sexual Orientation(性的指向)とは、「どの性に対して性的な魅力を感じるのか」を指します。恋愛対象と言い換えることもできるかと思います。

 前述のLGBTであればL/G/Bがこれに該当します。

 「誰を好きになるのか」を指すため、外的な矢印であるということができます。

 

 これに対してGender Identity(性自認)とは、「自分はどのような性別であるか」を指します。LGBTの内のTが該当します。

 「自身はどのような性別であるかの自己認識」であるため、内的な方向性を指しています。

 

 このSOGIのメリットは、前述のような「LGBT」という限定的な語彙とは関係なく、全ての性的指向性自認を包括的に表象する事ができる点です。

 デメリットをあえて挙げるなら、LGBTという言葉の影響力と比べた際に新規感が強く、まだ広く普及していない、という点でしょうか。

 

 ※最近世間を騒がせた新潮45「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」で小川氏が意図的か誤ってかは知りませんが性的嗜好性的指向を混同して使っていました。

 前者の性的嗜好は「好きなタイプ・プレイ・関係性・状況」といった、「行動・行為」に関する好みの話です。

 例えば「彼女とのSMプレイが好き」という嗜好は、ヘテロセクシュアルという性的指向がベースにあった上での「SMという性的行為が好き」という個人的趣向を指しています。「フェチ」と言い換えることも可能かと思います。

 なので、性的嗜好性的指向は根本から違うのだということは押さえておいてください。

 

(2) Sexual Orientation

 ※多くの性的指向が存在しますが、ここでは代表的なもののみを取り上げます。

 

A. Gay

 (自身を男性と自認する人が)男性に対して性的魅力・恋愛感情を抱くことを指します。

 あくまで「自身を男性と自認している人」がこの言葉の対象です。

 

B. Lesbian

 (自身を女性と自認する人が)女性に対して性的魅力・恋愛感情を抱くことを指します。

 これもゲイ同様、「自身を女性と自認している人」が対象となります。

 

C. Bisexual(両性愛)

 男性・女性の双方に対して性的魅力・恋愛感情を抱くことを指します。

 

 →ゲイ・レズビアンバイセクシュアルに共通していることですが、「誰を好きになるか」の点においてのみ性別が関わってくるだけであり、付き合い方等はヘテロセクシュアルの方と変わりません。

 (「バイセクシュアルってストライクゾーン広いんでしょ」といった大変失礼な言説を時折見かけますが、「好きになった人が男性or女性だった」というだけであり、個人の恋愛対象の広さをそのまま表しているわけではありません。これも前述の嗜好と指向を一緒くたにしている典型ですね。どういった性別を好きになるかと、どういったタイプの人を好きになるかは別の話です)

 

D. Asexual

 上記のセクシュアリティと違い、アセクシュアル[エイセクシュアル](無性愛)とは、文字通り「性愛がない」ことを指します。

 アセクシュアルの中にもスペクトラムは存在し、「他者に対して性的魅力を抱かない/性行為への関心はないが恋愛感情を抱く人」は「ロマンティック・アセクシュアル(Romantic Asexual)」、「性的魅力も恋愛感情も抱かない人」を「アロマンティック・アセクシュアル(Aromantic Asexual)」または「ノンセクシュアル(Nonsexual)」と表します。

無性愛 - Wikipedia

 

 他にも、全性(後述します)に対して性的魅力・恋愛感情を抱く、パンセクシュアル(Pansexual)という性的指向も存在します。

全性愛 - Wikipedia

 

(3) Gender Identity

 前述しましたが、これは「自己の性別をどのように定義し、認識するか」という、個人の自己認識という次元の話です。

 

A. Cisgender

 身体的(生物学的)性別と性自認が一致し、それに従って生きている人のことを指します。

生物学的に男性(性巣や性線、性器等)であり、「私は男性である」と自認している方、生物学的に女性であり、「私の性は女性である」と自認している方がこれです。

 

B. Transgender 

 上記のシスジェンダーとは異なり、生物学的性別と性自認が一致しない人がトランスジェンダーに該当します。

 芸能人でいうとはるな愛さんが該当しますね。(彼女はMtFトランスジェンダーです)

 (正しい区分でいうならトランスセクシュアルもあるのですが、筆者が力尽きたので説明は省略します。気になる方はググってください)

 

C. X-gender

 日本で生まれた言葉らしいですね。ほえーって思いました。

 ざっくり要すると、既存の性自認の概念が「男/女」の二軸でのみ語られるというジェンダーバイナリー的な側面があり、そうした枠組みに当てはまらない性自認を持つ人たちのことを指します。

 どういうこと?と思う方もいるかもしれません。

 いつものごとく万能戦士wikipedia先生のお言葉を借りると

 

Xジェンダーの中にも、性質の異なったいくつかの分類がある。代表的なのは中性両性不定無性の四つである。なお、この四分類にしばられる必要性は全くもってない。

中性(gender-neutral)とは、自分は男と女の中間だと認識している人の、ジェンダーアイデンティティのことを言う。

両性(bi-gender)とは、自分は男でも女でもあると認識している人の、ジェンダーアイデンティティのことを言う。

不定(gender-fluid)とは、自分は男でも女でもなく、ある2つの性別の間を行ったり来たりしている人の、ジェンダーアイデンティティのことを言う。

※両性・不定性は時と場合によってジェンダーアイデンティティが変わることが多い。→流動性が高い(gender-fluid)

無性(A-gender)とは、自分は男でも女でもなく、揺れ動いたりもしない、自分の当てはまる性別はないと認識している人の、ジェンダーアイデンティティのことを言う。

 となります。

 今までの性の括りが「男/女」という二項対立であったのに対して、こうした考え方が広まるとジェンダーというものがどれほど多様なものなのか分かると思います。

 海外だとQueer等がこれにあたると思われますが、いかんせん日本ではあまり浸透していない概念ですし、マイノリティコミュニティの中にもこうした枠組みに懐疑的な人もいます。

 例えばトランスジェンダーの方の中には、「自分の性がどっちか分からないなんておかしい」と言う方もいるそうです。身体的性と性自認が一致しないという点では共通項があるはずなのに……という、これは外野だから思ってしまう意見なのですが。

 

 Xジェンダーに関して日本語で書かれた書籍としては、Label Xという名義で出版された「Xジェンダーって何?ー日本における多様な性のあり方」という本が、当事者の苦悩や葛藤等を非常に詳細に書かれていてわかりやすかったです。amazonで2000円ちょっとだったので気になる方は是非。

 

Xジェンダー(FtX、MtX)とは〜男でも女でもない?LGBTという言葉だけでは表せない性〜|LGBTメディア|Rainbow Life

 

Xジェンダー - Wikipedia

 

 

 すごくすごく簡潔なまとめ方になってしまいました。申し訳ない。

 最後になりますが、LGBT(SOGI)に関するモーションをいくつか列挙してみます。気になるのがあったらプレパ練等してみてください。

 

・THW establish exclusive school for LGBTQ.

・THBT the transgender movement should leave the LGBTQ movement.

In countries where gay marriage is not legalized, THBT the LGBT movement should aggressively break up Lavender marriages.
 Info slide: Lavender marriage refers to a heterosexual marriage between a heterosexual woman and a homosexual man, or vice versa, or between two homosexual partners. The partner may or may not have entered into the marriage knowing that the other partner is homosexual.

・THB that LGBTQI activism in countries with strong anti-gay policies does more harm than good.